エルメショップ前の教会…そして、ヘミングウェイ | 甘いものでよろしく    スイーツとパンがあれば・・・ヽ(^。^)ノ

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ある日の昼下がり、3時のティータイム。「お茶のおともは何がいい?」とわたし。「甘いものでよろしく!」とみんな。わたしの甘いものの選択には、絶大な信頼があるのです。な~んて言ってみたいvanilleのほこほこブログです!

sulpice

H15年11月、ピエール・エルメのケーキを食べるために、パリへ行きました。当時は15区のヴォージラール通りのショップはなく、8区のレストラン『コロバ』内のショップと6区のサンジェルマン・デ・プレのボナパルト店のみ。パリ左岸が大好きな私は当然のようにボナパルト店に入りびたり、毎日通いました。滞在している1区のホテルから、毎朝てくてく歩き、ルーブル美術館を横目にセーヌ川を渡る。ボナパルト通りに入り、ラデュレ(左岸にはこの6区の店舗、一店のみ!)にも目もくれず、サンジェルマン・デ・プレ教会を過ぎ、見えてくるのが、美しいブルーの外観のエルメショップ!「さあ、今日は何を食べようかな…(幸)」

シュープリーズ・カワイイ、プレジール・シュクレ、ドゥ・ミルフイユ、イスパハンなどなど(当時のメニュー)。テイクアウトしたケーキはすべて、エルメショップ前にあるサンシュルピス教会の広場のベンチでいだきました。バドワ(ガス入りミネラルウォーター)とフォークを毎日持参で。その荘厳な教会を眺めながら食べた、エルメのケーキの味は生涯忘れられない思い出です。

私は最近、フランス菓子だけでなく、19世紀後半から20世紀にかけてのパリの文化に興味を持っています。最近、読んで夢中になったのは、『ヘミングウェイのパリ・ガイド』(今村楯夫著/小学館)。1920年代、作家志望のアーネスト・ヘミングウェイがパリに滞在したときのゆかりの場所、また小説『日はまた昇る』に描かれたシーンを辿った、パリの本です。

この本の中に、サンシュルピス教会が紹介されていました。ヘミングウェイは、2番目の妻、ポーリーン(ヘミングウェイはなんと4度も結婚している!)とともに、この教会のミサに出掛けていたとのこと。フランスでも最大級の新古典様式の教会、礼拝堂にはドラクロワが描いたフレスコ画があるそうです。そんな歴史ある教会とはつゆ知らず、エルメのケーキをぱくつきながら、「やけに大きい教会だな…、う~ん、これ美味しい!」なんて。知っていれば、感動もひとしおだったはずなのに、無知っておそろしいですね!

そうそう、滞在中私が立ち寄った、ソルボンヌ大学近くのビストロ『ポリドール』もヘミングウェイがひいきにしていたお店。玉村豊男さんの『とっておきパリ左岸ガイド』(中央公論社/この本は今は絶版かも…?とてもいい本でした!)でオススメのビストロです。ボリューム満点、値段も安い、気取らない家庭料理が気に入りました。日本語のメニューもあり、ちょっと気のきいたお店です。ちょうど訪れた日は、ボジョレーヌーボー解禁日。安いグラスワインでしたが、本当に美味しかった。帰国後知ったのですが、その年のボジョレーは、100年に1度の当たり年、ラッキーでした!

私は今、15区の新しいエルメショップを見に、次回のパリ旅行を計画中。このモンパルナス界隈にもヘミングウェイのゆかりの場所がたくさんあります。また旅の楽しみが増えそうです。


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■Pierre Herme
・185,rue de Vaugirard 75015 Paris
tel:01.47.83.89.96
・72,rue Bonaparte 75006 Paris
tel:01.43.54.47.77

■LE POLIDOR
41,rue Monsieur-le-Prince 75006 Paris
tel:01.43.26.95.34
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参考文献:


今村 楯夫, 小野 規
ヘミングウェイのパリ・ガイド


ヘミングウェイ, 高見 浩
日はまた昇る